5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)
2011/08/31(水) 21:53:56.25 ID:UM8DMbcio
「ふにゃ!? すすすすすすす!?」
顔を赤く染めた美琴が、カチリと硬直する。
上条は、彼にしてとても珍しい、いわゆる「女性を愛でる」笑みを浮かべ、右手を持ち上げた。
「美琴」
そっ、と右手が、幻想殺しが、桃のような少女の左頬に添えられた。
「ふにゃ、にゃ、にゃぁ……」
ぷしゅー、と美琴の頭から湯気が噴出した。
学園都市第3位。
つまり学園と、都市で3番目に聡明と言って過言ではない彼女の頭脳は、頬の丸みと柔らかさを楽しむように動く、上条の右手に侵食され、、完璧に停止した。
無理もない。
恩と、感謝と、それらを全て圧倒する恋心。
若干14歳の彼女が受け止めるには、それら感情の複合体は、あまりにも大きすぎたのだ。
「美琴」
上条が、頬に添えた指を僅かに動かし、少女の名を呼ぶ。
「は、はい……」
夢見心地。
あの実験場の夜から、昨夜まで。
夢の中で何度も見た光景が、いま目の前にあるのだ。
美琴はもはや、何も考えることができない。
何も、考えたくはない。
ただいまこの瞬間が、泡のごとく消えないことを、祈るのみだ。
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