316: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/06(火) 23:07:38.60 ID:A4h7viP4o
九月に入ってからというもの、木原のおもちゃは専ら学習装置だった。
天井から奪った学習装置のソフトをいじり回し、その技術を隅々まで盗み取っている。
学習装置とは、脳に直接知識を刻み込む、言ってみれば洗脳装置のようなものである。
刻み込めるのは勉学の知識だけではないのだ。
スクリプトさえ作ってしまえば、嘘の記憶だとか体術だとかも覚えさせる事が出来る。
木原の言う「洗脳」とは、これのことだろう。
「それって、クローンに短期間で最低限の生活を送れるだけの知識を持たせるために掛ける奴だろ」
ブーンと低い音で唸るコンピューターを遠巻きに見ながら尋ねる。
「何で俺が洗脳される事になってンだよ」
「別にコレはクローン専用じゃねぇぞ。脳の構造はクローンも人間も一緒なんだからよ」
唸るコンピュータを操っているのは、木原の長い指である。
彼は天井から絞り取った知識と技術を駆使して、すでにいくつか自分で学習装置用のプログラムを組んでしまったようだ。
「救いようのないバカをただのバカにする事も可能ってわけだ」
「……オマエが今作ってるのって……」
「喜べ。テメェをただのバカにするプログラムだ」
「や、ヤでェーす!!」
怪しげな機械に掛けられて脳をいじくられる。
しかも、テスト無しで。
一方通行は、その場から全速力で逃げるためのウォーミングアップを始めた。
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