699: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/27(火) 01:40:16.86 ID:s6seuxzCo
取り合わず、垣根はもう一度呼びかけた。
「帰せ。そのガキを……日常に」
「ハッ。今更何を善人ぶってんだか」
「俺がどんな大罪人であろうと、そのガキが普通に安全に暮らしていく事とは関係ねえ」
垣根の言葉に、顔面の半分を刺青に染めた科学者は、つまらなそうに息を吐いた。
初めて会った時とまるで印象が違う。
暗部に関わっている時点で碌な人間ではない事は分かり切っていたのだが。
「なるほど、それが本性か」
垣根は静かに言った。
「クローンを殺した罪を償えだとか何だとか言っておきながら、
テメェの今の行動は結構な外道っぷりじゃねぇか」
小さな、何の罪のない少女を洗脳装置に掛け、むりやり脳にウイルスをブチ込む。
かつて同じ事をされそうになっていた彼女を、助け出そうとしていた張本人のはずなのに。
そうすれば垣根も救われると炊きつけた男のくせに。
「俺は一応、学園都市を守るためにこの任務を遂行してるだけなんだけどなあ」
そんな崇高な事をしているという自覚も自意識も全くない様子で、木原はぽりぽりと後頭部を掻いていた。
垣根の心中に、得体の知れない黒い感情が沸き上がる。
「なら、そのためにガキはどうなってもいいってのか」
「まさか。そいつ死なせたらこっちが始末書だよ」
「死ななくてもだ。最終信号の脳は? 人格は?
そんな狂った機械に掛けやがって、元に戻らなかったらどうすんだよ?」
「別にどうも? 『殺すな』以外の注文は出てねぇな」
「テメェ……」
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