44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 03:39:33.08 ID:7L728IKno
「ごめんなさい……、りっちゃんに……嘘吐けなかった……」
本当は、さわちゃんを咎めたかった。
「一緒にいた男の人って誰?」って、「もう私のこと好きじゃないの?」「別れよう」って、直接言ってやりたかった。
だけど、結局口を吐いて出たのはさわちゃんに許しを請う言葉だった。
私たちにとって、本当の別れの言葉だった。
さわちゃんと付き合うって決めた日、私はさわちゃんと一つだけ約束を交わしていた。
もしも誰かに関係を知られてしまったときは、“別れる”って。
――――たぶん、それが今日になる。
静寂に包まれる部屋。
壁際にある時計だけが規則正しく動いている。
「私も……唯ちゃんに言わなきゃいけないことがあるの」
顔を上げてさわちゃんを見る。
「お見合い勧められて……実際、その人にも会った」
「さわちゃん……」
「最低でしょ……、だからこれでよかったの。……唯ちゃんが謝ることないのよ」
さわちゃんはそれ以上何も言わなかった。
ただ、こんなにも冷たく話すさわちゃんを見たことがなかった。
「やだ……」
こんなに近くにいるのに、さわちゃんをこんなにも遠くに感じたのは初めてだった。
「やだよ、さわちゃん……、別れたくない……!」
我儘だってわかってる。
約束も守ろうとしない私は、さわちゃんの目にどう映ってるんだろう。
昨日までの覚悟と感情は、さわちゃんに会ったことで全て都合よくリセットされた。
好きだ。
さわちゃんが、大好き。
今更になって、改めてそう感じるなんて。
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