55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 04:31:10.29 ID:7L728IKno
  
 1限目と2限目の間、廊下を歩いているとさわちゃんの背中を見つけた。 
  
 「さ、さわちゃんっ」 
  
 咄嗟に声を掛けてしまい、思わず後悔する。 
 周りを見ると授業を終えた生徒で溢れ返っていて、ここで話なんてできないと思った。 
  
 「どうしたの?」 
  
 「き……昨日、学校お休みしてたって聞いて……」 
  
 「大丈夫?」と当たり障りのないことを聞くと、さわちゃんは笑って「大丈夫よ」と言った。 
 だけど何だかいつものさわちゃんじゃなかった。 
  
 「それより、練習はちゃんとやってる?」 
  
 「あ……、昨日はお休みだった」 
  
 「どうして?」 
  
 「私が……ギー太忘れちゃって」 
  
 さわちゃんは困ったような顔をした。 
  
 「もうすぐ学祭なのよ?」 
  
 「わかってるよぉ……」 
  
 そのとき、廊下に溢れていた人達がざわざわと教室に戻り始める。 
 さわちゃんは腕時計で時間を確認すると、「次始まるからまたね」と言った。 
 私も頷いて、元きた道を戻る。 
  
 何にも話せなかった。 
  
  
 2限目の授業は何にも頭に入ってこなかった。 
 さわちゃんのことが気になってしょうがない。 
 元気がないというか、何かに悩んでいるようなそんな感じ。 
  
 それに、どこか私を避けているような感じがする。 
 わざと距離をとって接しようとしているような気がする。 
 別れたから、当たり前なのかもしれないけど。 
  
 結局、答えなんて見つからないまま昼休みを迎えた。 
 それからは午後の授業、部活、帰宅といういつもの時間を過ごした。 
  
 だけど、部活から帰宅までの間、さわちゃんに会うことがなくなった。 
  
 私の日常の変化は、たったそれだけだ。 
  
 たったそれだけなのに、ぽっかりと大きな穴があいてしまったような感覚が拭えない。 
  
  
 やっぱり、さわちゃんの存在は大きかった。 
  
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