63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 04:57:25.65 ID:7L728IKno
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【10月8日】
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「……いいんじゃない?」
さわちゃんから初めてお褒めの言葉をもらった日、私は泣いた。
初めは嫌々始めた特訓も、日が経つうちにどんどん上達していくのがわかって楽しくなった。
楽しくなりすぎてついギターにも歌にも力が入ってしまい、隣に住んでいる人から苦情が入ったこともあったけど。
だけど、何にも知らなかった音楽のことが少しだけわかるようになった気がした。
「本番もこれでバッチリね。頑張りなさい」
「……うう…っ、はい」
「私の特訓、そんなに厳しかった?ふふ、ごめんね」
泣いている私の頭をさわちゃんが軽く撫でる。
違うよ。
今泣いている理由はそうじゃなくって。
私の声はすっかりしゃがれていて、練習の成果を物語る。
だけど、厳しいとは思わなかった。
私のために時間を作ってくれたさわちゃんに感謝しないといけないとさえ思っている。
じゃあ、どうして泣いてるんだろう。
「明日からはもう部活に戻っていいわよ」
いやーそれにしても長い間頑張ったわね――私のギー太をケースにしまいながらさわちゃんは言う。
長かった、のかな。
思えばそんな気もするし、そうじゃないような気もする。
早く終わって欲しい、初めはそう思ってた。
だけど、日が経つうちにそんなこと一つも思わなくなっていて。
練習量にも満足していた。多いわけでも少ないわけでもない適度な時間だったから続けられたんだ。
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