65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 05:02:25.78 ID:7L728IKno
「初めは勘違いかなー、自意識過剰かなーとも思ったんだけどね」
一瞬、ほんの一瞬、視界が真っ暗になった。
同時に、今までに感じたことのない温もりと柔らかな感触が唇に広がる。
ぽかんと立ち尽くす私を見て、さわちゃんは笑った。
「合ってた?」
さわちゃんが私の下唇を親指でそっと拭う。
「不思議ね……、一度意識すると、私も唯ちゃんのことばかり考えるようになってたわ……」
さわちゃんに一体何をされたのか、何を言われたのかすぐには理解できなかった。
だけど、段々と状況を理解していくうちに、自然と涙が溢れてきた。
さっきまでとは違う涙だ。
きっと、さわちゃんは私が望んでいたことをしてくれて、その通りの言葉をくれた。
なのに、私に残っている最後の理性の欠片がそれを止めようとする。
「だけど……っ、さわちゃんは先生でしょ……」
嬉しい。
だけど、素直には喜べない。
だって、私とさわちゃんは同じ立場にいないから。
「そうね。先生だし、ましてや唯ちゃんは女生徒よ?手出したなんてバレたらクビが飛ぶのは間違いないし、もう一生女子高の先生なんてできないわ」
「……そうだよ」
「それに……唯ちゃんにだってそれなりの処分はあると思う」
高まっていた感情が段々と下がっていく。
付き付けられる現実に納得しなきゃと思う自分と、それでも一緒にいたいという我儘が交錯した。
いつになく真剣な声色と眼差しに頷くことも忘れて立ち尽くしていると、さわちゃんは言った。
「それでもいい?」
その瞬間、溜まっていたものが全て流れていった。
私は声にならない声でさわちゃんの名前を呼んで、目の前の身体に抱き着いた。
縋るように泣き続ける私を、さわちゃんはちゃんと受け止めてくれた。
「さわちゃん……、大好き」
きっとこれから沢山のことを隠して、周りに嘘を吐きながら過ごしていかなきゃいけない。
だけど、私は頑張りたいと思った。
どんなに辛くたってさわちゃんと一緒なら幸せだと、そう思ったから。
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