69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 05:36:13.19 ID:7L728IKno
窓から校庭の桜を眺めた。
蕾が少しだけ開き始めている。
卒業式を終え、ざわついていたはずの校舎にはもう誰も居ない。
だけど、その余韻はまだ私の中にも残っている。
教室には夕日が差し込み、全てを橙色に染めている。
りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、和ちゃんの机を順番に眺めてからみんなの笑顔を思い出す。
私は立ち上がって、傍らに置いていたギー太を背負った。
そして胸につけられた花飾りを見て、卒業証書を握り締めた。
教室を出て、ゆっくりと廊下を歩く。
三年間を過ごした校舎。
一つ一つの思い出を噛み締めるように、階段を下った。
外に出るとまだ少し寒いような、だけどいつもより温かな風が吹いていた。
そして、正門の先に見つけた背中に向かって名前を呼んだ。
「さわちゃん!」
振り返ったさわちゃんは、にっこりと微笑んで言った。
「卒業おめでとう」
そして私に向かって左手を伸ばした。
私はその手をしっかりと握り締めた。
それから二人で一緒に正門を抜けた。
正門を抜けたあともずっと、私たちは手を繋いでいた。
おしまい
85Res/80.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。