9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:31:40.26 ID:7L728IKno
「ねえさわちゃん、お腹空いた」
「まったくもう、仕方ないわね。でもその前にシャワー浴びてきなさい」
確かに私の身体は何だかべたついている。
それがどうしてなのかなんてわかっているけれど、とりあえず暑かったからということにしておこう。
汗のせいで額にへばりついている前髪を掻き上げて、散乱している服や下着を掻き集めて脱衣所に向かう。
「あーちょっと唯ちゃん」
「んー?」
「昨日……憂ちゃんには連絡した?」
さあっと血の気が引いていく。
慌てて携帯を確認すると、憂からの着信やメールがたくさん残っていて、軽音部のみんなからも連絡があった。
昨日の私は、何にも見えていない。
「恋は盲目……だねえ」
「……そういうことなのかしら」
軽音部のみんな、それにいつも私を支えてくれている憂や和ちゃん。みんなのことは大好きだ。
大好きだけど、一つだけ隠していることがある。
さわちゃんと付き合っている――そのことだけはずっと言ってない。
『返事が遅くなってごめん。ちょっとギターの練習がしたくて、さわちゃんのところに泊ってたんだ』
本当と嘘。
その両方が混じった私のメール。
その文は間違いなく、私が打ったものだ。
部屋の片隅に立て掛けられたギターケースに視線を移す。
昨日の放課後からギー太には触っていない。
真っ黒なケースを身に纏ったギー太と今打っているメールの文面を見比べてから、送信ボタンを押した。
こうやって嘘が上手くなっていくのは、大人になっていく証なのかな。
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