548:1[saga]
2012/03/04(日) 15:53:10.01 ID:7s5pwasZ0
二人の唇があと数センチのところまで近づいた時だった。
「お待たせ〜。このさやかちゃんが売店の弁当争奪戦を勝ち抜いて今帰って、来た、ぞ……」
さやかから見て二人の様子は、またしてもほむらによって、まどかが襲われているように見えた。
「こんのぉぉ!! まどかに変なことするんじゃなぁぁぁい!!」
ほむらはさやかの大声に反応し、ドアの方へと振り返った。
すると、ほむらの視線の先には、今まさに弁当を振り上げて投げつけようとしているさやかがいた。
弁当の中身はミートスパゲッティだった。
衣類に付着すれば、シミになるのは絶対に避けられない。
「ちょっ!! ま、待ちなさいさやか!! 流石にそれは洒落にならないわ!!」
「いいや待たないね!! 喰ら----って、うぉ!」
ほむらは慌てて立ち上がり、さやかに駆け寄ると、振り上げられた腕を掴む。
半分冗談のつもりだったさやかは、ほむらの突進に驚き、バランスを崩す。
さやかの手から弁当が零れ落ちる。
三人同時に「あっ!」と叫ぶ。
スパゲッティの蓋が開く。
三人の口が開きっぱなしになる。
スパゲッティが容器から離れ、宙を舞う。
三人の視線が徐々に下へと向けられる。
べちゃっ、と音を立てて、床に落ちた。
三人は床に落ちたそれを、しばらく呆然と見つめていた。
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