12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:57:31.85 ID:vDKXf2v5o
表面的には、彼は毎日、自堕落に、好き勝手に生きているようにも思えた。事実、大半の時間はそうやって消化されていた。
けれどふとしたとき、たとえばネット上のニュースサイトで、学歴や無職などの記事を見つけると、そのたびに暗い思いがわき出してくる。
それらは日常のさまざまな時間を浸食しては、彼を責め立てた。
彼の毎日は薄められたコーヒーのように味気なく、その大半が無意味だった。
意味があるのは一ヶ月に数時間程度のもので、それ以外の時間、彼は常に一カ所に停滞していた。
部屋からほとんど出ない生活。
とはいえ、用を足すのにはトイレにいかなければならないし、食事を取るにはリビングに降りた。
たまには本屋に出かけて中古本を買いにいくこともあった。出かけるときは、決まって夜だった。
曜日の感覚や日付は、彼の生活にはほとんど存在しなかった。ただ毎日をやり過ごし、消化していく。
そしてふとしたときに考える。
いつまでやり過ごすのだろう。
いつまで、こんな生活を続けるのだろう。
こういう考えに一度とりつかれると、後は悲惨だった。
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