17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:41:40.46 ID:vDKXf2v5o
  
  それも誤りだった。彼は結局、そのまま停滞した日々を過ごした。多少外に出ることはあっても、結局一日の大半を部屋の中で過ごす引き籠もりに。 
  そして実に二年近い歳月を、ただただ無為に消費し続けたのである。この事実を振り返るたびに、彼は重苦しい気持ちに襲われる。 
  この二年で、自分と同じ歳のものはどんどんと先に進んだはずだ。その流れの横に、自分は置き去りにされている。 
  
  中学時代、彼はよく人生のことを考えた。 
  毎日続く、焼き増しの日々。それが大人になれば、今度は仕事が取って代わり、やはりまた毎日のように憂鬱の襲われる日々が続くのだろうか、と。 
  それを考えると、自分の人生というものが心底無意味に思えて、彼はすべてを投げ出してしまいたい気持ちになった。 
  
  流されるだけの人生は嫌だ、と流れに棹を差してみたものの、結局無駄だったんじゃないか。 
  強い後悔が、自分の判断が誤りだったと認めているような気がした。 
  流されるだけではないのだ。焼き増しでくだらなく思えても、それを謳歌している人間もいる。 
  
  行列に並ぶのが嫌だと抜け出してみたものの、皆、並びながらも自分の足で歩いている。 
  そんな中で、彼はひとりだけ立ち止まってしまった。 
  
  今まで隣を歩いていたものはとっくに先を行ってしまい、後を追いかけてきたものも彼を追い越していってしまう。 
  
  ふたたび行列に並び直すより、ここでずっと立ちつくすか、あるいは、ひと思いに死んでしまうほうが楽に思えるのも無理はない。 
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