23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 19:11:56.45 ID:vDKXf2v5o
よせばいいのに、彼はふたたび堂々巡りの思考に舞い戻った。落胆と達成感、安堵と軽蔑が、それぞれ彼の心を責め立てた。
ここにきて、また自分のことを考え始めた。自分はどうすればいいのだろう。どこに向かえばいいのだろう。
何かひとつでも目標があれば違ったのかもしれない。熱中できることを持っている人は、生きる意味など考えないのかもしれない。
けれど自分にはそれがないのだ。人生の明確な指針が存在しない。それはつまり、どこも目指していないということ。
目指すべき理想や、かなえたい夢や、辿り着きたい場所がないなら、その人生には何一つ意味がないのではないかと、彼はそんなことを考えた。
一応は行動を起こした彼を、家族は責めることができなかった。彼に行動を起こさせるには、家族は優しすぎた。また、そのことがさらに彼を苛む種にもなった。
いっそ誰からも忘れられて消えることができれば、と彼は何度も考える。そのたびに悲しくなる。
いずれにせよ、自分の死を悼む人など、そう多くはいないのだ。
そのたびにまた、生きることのすべてが空しくなり、悲しみに暮れた。
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