32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/29(月) 11:44:34.31 ID:PjuOVipoo
教習券を買い、予約を取り、学科講習を受け、教習所の狭い道路を走ることにも徐々に慣れていき、次第に自然と振る舞うことができるようになってきた。
待ち時間は本を読んで過ごす。教官と車内で世間話をしたりもする。夕方になると騒々しくなり始めて憂鬱になるが、彼はそもそも以前から喧騒や人ごみを嫌うタチだった。
何かをしているという実感が沸いてくると、今度は今までならなんとも思わなかったようなことで楽しい気分になったりもした。
彼は徐々に落ち着きを取り戻し、自動車教習に対して前向きになった。
けれど、腹の底に何か暗いものが凝り固まっているのは変わらない。
免許をとったとして、それで――そのあとは、どうすればいいのだろう。
彼は意識的に考えないようにしていたが、ふとした瞬間に湧き出るその不安に、明確な答えを返せなかった。
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