34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/29(月) 11:45:26.88 ID:PjuOVipoo
「よう」
背の高い男だった。どこかの高校の制服を着ていて、親密そうな笑みを浮かべている。うしろには数人の少年が控えている。この男の友人だろう。
彼が黙っていると、男は少し不安そうな顔になった。
「……あれ、人違いかな」
そう言ってから、男は不安そうにひとつの名前を告げて確認した。それは間違いなく彼のものだった。
彼もまた、その声音に聞き覚えがあることに気付く。
ヤマトだ、と彼は思った。
中学時代の同級生で、目立つグループに属していた。文化祭でバンド演奏をしたり、運動会では応援団長を務めていたりもした。
高校でもバンドを組んだりはしていたらしく、そこそこ悩みのある、そこそこ充実した日々を送っていたようだ。
その事実を彼が知っているのは、ヤマトが携帯から作成できる簡易のホームページで日記を綴っていたからだ。
ときどき妙に空しくなったとき、中学時代の同級生が公開している日記を見る。
自分でも気持ち悪く、屈折していると思ったが、ときどき見ると奇妙な安心を見出すことができる。
ああ、進んだといっても、こいつらはこの程度なのだ、と。そう考えた彼は、やはり歪んでいたかも知れない。
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