過去ログ - 男「だったら俺が悪いのかよ!」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:39:34.49 ID:vDKXf2v5o

 今年の春、彼は十八になった。十八。そして愕然とする。自分はもう、そんなにも長い時間を、この無為にしか思えない時間に使っていたのだ。
 それを思うと、もはや取り返しのつかないような気持ちになる。何をしても手遅れだと感じてしまう。

 十八。今年で、同級生たちも高校を卒業する。みんなそれぞれを道を歩き出すし、そのうちにいろいろなことを知っていく。
 立ち止まって思考の堂々巡りに付き合わされているのは自分だけなのだ。みんな与えられることを次々とこなしていき、いずれその喜びを手に入れる。

 自分は、どうなるだろう。
 引き籠もりはじめた二年前から、何も変わっていないのではないだろうか。なんの成長もしていないのではないか。

 彼は自分なりの考えを持って、この部屋にこもった。けれど一歩引いた目で見れば、そんなのは子供の言い訳で、屁理屈でしかない。
 十八。もう、子供でいられる時間はない。長々と言い訳を連ねたところで、それは何も生み出さないのだ。

 一歩踏み出してみればいいのかもしれない、と何度も思った。何かを始めれば、この堂々巡りから抜け出せるはずなのだ。
 彼はそんな考えにとらわれては、泣き出したい気持ちになる。子供のまま成長することを拒んでしまった自分に、後悔を抱く。

 未だに手ぶらなままの自分と、何かを少しずつ手に入れていく同級生たち。
 取り残されているのは自分だけで、気付けばどこにも居場所なんていない。



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