179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/03/26(月) 18:33:12.78 ID:3WG7oR/50
紅髪『内容は極めて単純。ただ、この荷物の運搬任務……この荷物をね、街に運ぶ』
傭兵『はい、ま、そうですね』
紅髪『荷物を銀行に預ける……その最後の仕上げをね、その人に託して、あとは解散してもらいたいの』
傭兵『……は、ええっと、それはつまり』
紅髪『簡単よ、街に入ったらあとの仕事を、全てその人に託す……それだけ』
傭兵『……なんですかそれ』
紅髪『さあ?大人数で預けるよりも、少人数の方が目立たないし、狙われにくいからじゃない?』
傭兵『……なるほど、慎重を期しての事なわけですか』
紅髪『少なくとも依頼書の書面にはそう書いてあったわ』
傭兵『書面?え、つまりこの指示だけが、もうひとつの依頼なんですか?』
紅髪『そういうこと』
傭兵『……他人に仕事を投げるだけなのに?』
紅髪『ええ』
微笑む。焦げた紅茶色のまつ毛が美しい女性だった。
傭兵『……』
美しい女の笑顔には最大限気をつけろ、とは傭兵の酒場でのひとつの訓戒だが、目の前の女性はギルド長。
胡散臭い任務に怪しげな笑顔だが、信用に足る人物だ。
傭兵『わかりました、その仕事、引き受けましょう』
紅髪『ありがとう、恩に着るわ』
傭兵『簡単な遣いですからね、それで追加報酬がいただけるんなら、全然構いません』
紅髪『ええ、しっかりね、お願いよ?』
傭兵『はっ』
かくして、彼は運命の歯車の調整役を担うこととなった。
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