251:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/05/01(火) 18:26:55.88 ID:iqKfw5/80
別れ町全体を見下ろせる岩場がある。
山側にある岩石の崖は、朱金の採掘場として重宝されていたものだった。
しかし、戦時もあっという間に終わり、それどころか戦時中の需要も中途半端に終わったため、資材はまだ残っているが廃止されている。
相次いだ落石事故のせいもあるのだろう。
昔の錆びたトロッコすら残る高い岩場に、複数の機人が密かに集まっていた。
町の全貌を度数入りの目で眺め、おもしろげに機械音声で笑っている。
『ケケケ、おい、見つけたぞ。大事そぉーに、木箱を抱えてる賊ガキだ』
『マジで?……お、本当だ…いやぁ、お互い景気の良いこってなァ』
先の尖ったグリーンメタルの指が示す先には、機転を利かせて踵を返す少女の姿があった。
『いやまて、あっちにも2人、木箱を持ってるな』
『アン?……ああ、あいつらはダミーだな、囮だ……持ち方がぞんざいだ』
『演技かもな』
『ハハッ、どうだか……まぁ、全員襲っちまえばいいんだろ』
機人達は笑う。
世に機人盗賊多しといえど、彼らのような後ろ暗い者達ばかりでないことを、機人達の名誉にかけてここに弁明したい。
彼らは“盗み”という明確な悪意をもって、顔の割れにくい機械の身体を選んだ、特異な存在なのだ。
『しかし、これで真実味を帯びてきたな…こんな警察もろくに配備されてねえ町に、国宝級の品が運ばれてくる、っつうのはよ』
『どっからの情報源だ?矮賊の密輸だったけか?』
『さあな、ガセの噛まされにくい、頭の良い奴らからの情報ってのは聞いたが』
『おう、そりゃあ良い知らせだ、とっとと奪っちまおう』
『ケケ、そーしますか……』
『楽しもうぜ、どうせ同業者の奪い合い、邪魔者はいないんだからな』
777Res/365.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。