330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/06/05(火) 19:41:29.14 ID:YcvHoPCV0
『おい、奴ら……こっちの位置に感づいたようだぞ』
『そりゃ、挑発したからな』
塒のすぐそばからは町が見下ろせる。
盗賊達は集い、別れ町の全景を見ていた。
『向かって来るたあ随分肝が据わってやがるな?よしよし……じゃあ上等ってもんだ、迎え撃つとすっか!』
『わざわざトカゲの巣窟に飛び込んでくるとはな……ケケケ、かわいい子蜘蛛だぜ』
高い位置にある岩山の採石場。少し降りれば、やってくる者とはかち合うことになるだろう。
『油断するな!』
一体の声が穴ぐらに響いた。
『……ぁん?』
『…俺は、あのガキと戦った……戦ってわかった、あいつは強ぇえ』
落ちついた調子で言うのは、地に座りこむ機人。背骨の関節部を損傷した者だった。
『ケッ、てめぇはただ勝手に故障しただけじゃねえか、しっかり油挿しとけポンコツが』
『ち、違う!これは故障なんかじゃねぇ!』
『……あいつは狙って……たったの一撃で、俺を機能停止にさせやがった』
『ほぉ?』
『あれはかなりの手練れだ、もしかしたらあのガキ、俺らを狩る訓練でも受けていたのかも』
『うるせぇッ!!』
怒号は洞穴を響かせ、壁面の小石をからりと落とした。
『いいか?負けたのはテメーが弱いからだ』
『……』
『あンの、ションベンくせえ小僧に負けやがって……それはなんだ、言い訳か?ん?』
『……』
『お前は黙ってそこで寝てやがれ』
『へへ、そういうこった……じゃ、俺らはあのガキをぶっ殺してくるぜ』
『ちゃっちゃと終わらせてくらぁ、帰ってきたらまた、たっぷり笑ってやるぜ?ケケケ!』
集団は去ってゆく。
採石場の入り口付近へと、迎撃へ出るために。
『……後悔するぜ?』
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