505:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/08/09(木) 21:00:38.75 ID:ACbr0wo10
あっという間に夜になった。
そう、何も知らずに生きる者にとっては、普段と変わらない一日だっただろう。
過半数が普段を謳歌する今日は、懸命に生きようとしていた者たちにとっては、それはとても長い1日であった。
今、水辺で休んでいる彼女と彼も、その内の人間だ。
地味な色のケープで体を覆い、露店の古着を羽織った二人のシルエットは、うまく闇に溶けている。
生徒「うう、疲れました……」
男「ああ、そうだな」
二人は逃げ、隠れていた。
遠距離馬車は使わず、船には乗らず。可能な限り自らの足で逃げていた。
漠然と思い浮かんだ経路であるものの、それは見えないながらも、図った通りの成果を上げた。
いくつかの地点で今夜の待ちぼうけを食らっている暗殺者数人の退屈が、その証明である。
生徒「もう、今日は歩けません……ごめんなさい……」
男「いいんだ、今日は休め……ゆっくり休んでいい」
覆う布の上から脚を撫で摩る。
辺りに光と人影は無く、水辺で虫が鳴くだけの、真っ暗な場所。
静かな風に重く月明かりたゆたう川が、少し不気味だ。
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