619:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/28(金) 19:05:44.61 ID:bbEUxixu0
狙いは正確。
誤差は速さが補うと信じて術を放つ。
「“スティー・ボー”」
タクトの先に込められたイメージの式に魔力が駆ける。
長い鉄銛の射出。返しは無くとも、その貫通力だけで標的を射止め殺すことは容易だ。
弓とは違い、術は固形物を当てるという事に特化していない。
炎や風、水ならば深く集中も必要ないが、鉄だけは別問題なのである。
が、彼の銛は正確に標的を捉え、矢のごとき速さで飛び出した。
右へ、左へ避けようとも遅い。
脇腹を貫くか、胸骨を貫くかの違いに過ぎなかった。
そのどちらかの結果が来るであろうと、青年は予見していた。
×「―――×(ヨワイナ)」
男は避ける素振りも見せない。
ただ大きな剣を下から振り上げた、それだけだった。
射出された銛の威力は高い。剣で受けようとすれば、それなりに後退せざるを得ないだろう。
青年はその後の追撃も想定して、この威力の高い術を選んだのだ。
――ジャリ
が、刃こぼれの多い剣は、銛を弾くに留まらない。
切れ味の悪い切断音を鳴らしながら、銛を裂いているのだ。
「なッ……」
×「―――」
声を上げる頃には、粗く両断された銛が二手に左右へ飛び、消滅した後であり、
×「×(シネ)」
「あっ」
青年の胴に、大きく深い×印の傷が刻まれた後であった。
×「……○(カンリョウ)」
剣を近くの幹へ斬りつけ、乱暴に血糊を拭う。
暗殺者は去っていった。
777Res/365.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。