62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2011/09/09(金) 20:51:52.49 ID:M7t4TzP80
木の香る廊下を歩く。分厚い壁で隔たれるそれぞれの部屋は、任務内容の機密を守るためのものであり、それ故にドア同士の間隔も非常に狭い。
人数確認に粗相が起らぬよう、大きな会議室の入り口もたった1つのために、ギルドの廊下は無駄に長く見えた。
少しでも景観を楽しませようと定間隔で壁にかけられた紅草のプランターが、十五歩ごとに目線の暇を慰めてくれる。
紅髪「もう少しで個室だから、そこまでは仕事の内容については我慢してね?」
少女「…あなたは依頼人?」
紅髪「え?あ、…うーん、ま、代理みたいなものね、ギルドの人間だから」
少女「そう」
先頭を歩く彼女の紅い髪をぼんやりと眺めて、意外にも少女から会話を繋げた。
少女「何故私を誘ったの?」
紅髪「ん、そうね」
考える素振りを見せるが、わずかに微笑む口元は既に言葉を持ち合わせているようだ。
紅髪「なんとなくだけどね、目が、そう…慣れていたからかしら」
少女「目」
紅髪「そう、目よ、人は目を見ればわかるもの」
踵を回して紅髪の女性が少女に向き合う。コウキの赤と無感情の紺が交わる。
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