630:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/10/04(木) 20:20:29.21 ID:58/SMwvy0
街道とはいえ、道中にすれ違うのは道を我が物顔で走る横柄な商人の馬車程度。
徒歩でここを往こうなんて輩とはなかなか出会わない。
当然、同じ歩調で道を進む奴らと、そうそう追い抜け追い越せするはずもなかった。
つまりは、歩きの最中は暇なのである。
村人「お前、家が無いっつったな」
少女「ええ」
村人「両親は?」
少女「死んだ」
村人「そうか」
人が珍しく気を利かせてみれば、これだ。
家族は何やってんのかという、聞いた俺自身すらあまり興味のない話題の切り出しに、まさか本気で斬りかかってくるとは、誰が想像できるだろう。
ともあれ、踏み所の悪かった質問だったが、相手の表情は動かぬままで良かった。
本人の中では整理がついている事なんだろう。
だから俺は、むしろ追求してみることにした。
村人「それまたどうして?」
少女「お父さんは知らない、お母さんは誰かに殺された」
村人「……なんだか血生臭い話だな、盗賊か何かにやられたのか?」
少女「わからない」
村人「それとも暗殺者とか?ねえか」
少女「……そうかもしれないけど、違うかもしれない」
村人「はぁー……」
踏みどころの悪い位置を的確に踏みにいく俺の話術は、今までの素行が悪かったせいなのか。
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