過去ログ - 村人「めんどくせえええええ」
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639:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/10/10(水) 20:41:08.50 ID:LMc3ipvZ0

少女「……どうして助けにいかないの?」

村人「え、なんで助けんの?」

少女「……え?」

村人「ん?」


砂利道と林道。

二人を分ける地面を眺め、しばらくは二人の何が食い違っているのかを考えていた。


少女「……誰かが助けを求めているのよ」

村人「どうして俺が、道行く先で困ってる奴らをいちいち助けないといけないんだ?」

少女「何故?私には理解できない」

村人「え?俺の方が理解できねーんだが」


反抗的な、侮蔑的な目で見られ、少し頭にくる。


少女「崖からあと右手を離しただけで落ちてしまいそうな人がいるなら、迷わず手を延べるべきではないの」

村人「どうして俺が、腕を掴まれて一緒に谷底に落ちるリスクを負わなきゃならない?」

少女「ここは崖じゃない、下に谷底はないわ」

村人「だがあそこは林だ、何もないのに助けを求めている、そこには何かがある」


林や森には危険がある。誰かの悲鳴が聞こえるってことは、ただ毒キノコを踏んだとか、足場を踏み外しただとか、そんな生ぬるいものではない。

 
村人「本来何もない場所で何かが起きている、何なのかはわからない」

村人「あーあー、やだね、俺の一番嫌いなパターンだ、リスクがなんだかわからない、ギャンブルと同じだ」

少女「ギャンブルと一緒にしないで、人を助けることにリスクなんて関係ない、命だって賭けられる」

村人「俺はやだね、降りてやる、命と安全を賭けるなら一人で刺し狙いしてろ」

少女「……“審判”」

村人「引かねえ、先に行ってる……」


俺は少女を置いて、街道を進み始めた。


少女「……」


あいつはずっと、俺の後ろ姿を見ていた。

が、思い出したように林の中へ消えていってしまったらしい。


お互いに足音は遠ざかってゆく。



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