648:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/10/16(火) 22:02:02.18 ID:WPko8kf70
乾いた足音は間もなく湿り気を増し、足腰は慣れた自然への脅威に備える動きとなる。
脛まで覆うブーツは下草を跳ね除け、わずかに残った露を弾きながら目的の先を目指す。
少女(声はどこから聞こえてきた?だいたい、ここをまっすぐ……よりも少し左……)
――助けてくれ!
少女「!! こっちか……!」
生まれつき、耳も鋭敏だった。かすれつつある声にも反応し、走る方向をわずかに修正する。
そうしてしばらくもしないうちに、大きな声は聞こえてきた。
「助けてくれぇー!」
少女「はっきり聞こえる……大丈夫、今すぐ行く」
阻むように横へ伸びた枝が白い頬を掠める。
が、頬は何事も無かったかのようにかすり傷ひとつも付けなかった。
それでも目元にかかりそうになるものは邪魔であるらしい。目は反射で瞬きする。
少女「ッ……枝、邪魔」
腰の両脇に備えた双剣が回り、交差し、進行方向の細い枝を切り刻んでゆく。
走る間に斬ってしまう技術だけでも達人であるが、恐るべきは切り刻んだ枝葉を峰で払い退ける、斬りの後の剣さばきにもあるだろう。
少女(何があるかわからない……双剣は抜いておこう)
少女(村人の言う通りなのが癪だけど、何かのリスクがあるかもしれない……!)
林が開ける。
少女「……!」
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