660:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/10/22(月) 18:40:55.72 ID:TTgqoRf20
竜「ォっ」
長い腕が遠心力を付けて振り下ろされる。
その一撃は剣で防ぐのはあまりにも難しい、野生の強烈な一撃であることは、狩人の経験抜きにしてもわかることだった。
少女「ただ腕を振り回すだけでは、一般人しか倒せないわ」
竜「ぉん?」
狩人のカンが活きるのは、振り下ろした後。
どの程度の速さで振りぬかれたそれが、どの程度の反動を持つか。野生生物の激しい動きを何度も見てきたからこそわかる、竜の隙である。
少女「丈夫な腕ね、良い足場になる“クロスステッチ”」
竜の腕に片足を置き、双剣を左右から構える。
足が着かないことから生じる剣の威力の軽減。
たとえ大きな剣であっても、空中では野生生物を斬ることは難しい。
刃物は、主に西洋の刃物は、強く振りぬくことで威力を発揮する。
しかし、少女の双剣は空中であっても威力を保つ。
それは左右からの挟むような攻撃方法にある。地面を踏ん張ることが不要な、力の逃避を許さない2本の剣の挟み撃ちこそが、彼女の狩人としての必殺の技だった。
竜「!ォおおおォン!」
普通の魔獣ならばそのまま首を貫かれ、斃れているところである。
しかし、魔獣は首を刺される前に、自らその頭部を前に突き出した。
少女「! いたっ」
竜「おゴッ」
頭と頭が衝突する。
頭蓋骨の損傷が危ぶまれる大き過ぎる音と共に、両者の距離は一気に離れた。
少女(頭突き……!)
竜「ォおお……!」
少女(一気に仕留めようとしたのが感付かれた……そこまで頭は悪くない、ということね)
竜「ぉ……ォおオん!」
横に歩み、両者とも機を伺う。
竜「……」
少女「……」
隙を伺えば伺うほどに隙を隠そうとする竜の立ち振る舞いに、少女の額を汗が流れた。
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