693:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/12(月) 20:21:15.95 ID:rUtVEKgW0
暗殺者(随分と古い剣だな……抜刀の音だけでわかる、野ざらしにしていたみてえに酷く錆ついてやがる)
宝石のナイフを手の中で弄び様子を伺う。
依頼人から聞いた情報では、この白髪の男は「魔剣士」。剣が見た目で錆びていようと、魔剣士であるならばそこから魔術を放つことも可能だ。
剣を基点に魔術を発動しつつ近接戦に持ち込む魔剣士、その物珍しさ自体が、その戦闘形態の優位性である。
街道の先にいる男のように、錆びついた剣で相手を油断させ……という手段も、有り得なくはない、むしろ現実的な狡猾な戦術といえる。
もっともバレていれば無意味なのだが。
青年「…俺を…殺す…だと?」
暗殺者「そうだ、死んでもらう」
黒衣の者の職業は暗殺者。ならば相手が命乞いをしようとも、完全に抹殺しなければならない。
ターゲットの抹殺は欠伸が出るほど当然な、確定事項なのだ。
青年「……そうか」
暗殺者「覚悟は良いな?」
青年「……」
暗殺者「よし、死ね」
暗殺者は口をゆがめ、ナイフを頭の上にまで掲げて振りかぶった。
ぱきぱきと、石が砕けるような、氷が出来上がるような怪音がナイフから発せられる。
直線上からまっすぐ放たれるであろうその凶器に対し、白髪の青年の構えは剣を持つ割に、あまりにも無防備すぎた。
両腕は垂れ、剣先は地面につき、目は緊張も覚悟もなく虚ろのまま。
青年「……お前がな」
ナイフが手から飛び出した時点でようやく青年の腕は動き、相手に聞こえないほどの小声で何かを呟いた。
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