701:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/19(月) 22:53:40.40 ID:/LTY95t40
宝石の破片が土の上に無数に散らばっていた。
それらは濃淡に違いはあれど、どれも鮮やかな透き通る青系統の色だった。
踏めば“じゃり”とガラスのように鳴って、砕けた石たちは魔力に還元され掻き消える。
二人が立つ場所は、そんな不自然な街道の真ん中だった。
黒衣「はあッ……ちっ、しぶとい野郎め……」
片や顎から零れ落ちそうな汗を、宝石を握った手で拭い、
青年「ごほっ……どうした、他の技も見せてみろ……」
片や不健康そうな咳をしながらも、毅然と錆びた剣を相手に構える。
こうした宝石と錆びた剣などによる戦いは、数分も続いていた。
黒衣「……」
暗殺者が数分間も戦闘行動をするなど、通常は有り得ない。
当たれば即死の魔術同士でならば即決着がつくのが当然であるし、剣同士の斬り合いでも分とまではいかないはずだ。
だが魔術対剣の対決でこの体たらく。これはまさに異常だった。
黒衣(振れば巨大な盾のように攻撃を防いじまう剣……こいつはなかなか……“今”戦うには難しい野郎だな)
街道に刻まれた無数の戦闘の傷跡を一瞥し、暗殺者のほうは身を引く覚悟を決めた。
青年(宝石を出し、爆発させる術……やはり、覚えはない……)
一発勝負が売りの暗殺者を相手に膠着状態に縺れ込んだ彼も、今までの殺し合いの異常性を理解していた。
単純な詠唱で無尽蔵に生み出される宝石、それによる攻撃。
防ぐことは辛くもできているが、未知の領域に踏み入る決心を固めるにはまだ、情報が少なすぎる。
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