714:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/22(土) 20:17:03.39 ID:3b4kUBFy0
黒衣「……チッ、仕方ねぇ」
外套が翻り、暗殺者の背が向けられる。
青年「逃げるのか?」
黒衣「また殺しに来る」
戦闘によって乱れた黒髪を整え、外れたフードを被り直す。
青年「俺はお前の都合など知らない……わざわざ逃がすものか……後々、また蚊のように来られても迷惑だからな」
黒衣「ハッ、やれるもんならやってみろ」
青年「ああ」
背を向けて歩き出す暗殺者の態度に気を悪くすることもなく、白髪の青年は剣を握って走り出した。
青年「変な奴だ、追いかけられても背を向けたまま、逃げないとは」
黒衣「必要ないしな」
剣がフードの首を目掛けて振り上げられ、同時に黒い暗殺者は手元の切符を引き千切った。
青年「!?」
切符の破損と同時に黒い暗殺者の姿はぼやけ、煙よりも静かに、速やかに消えてしまった。
錆びた剣は宙を斬り、目の前の光景に思考を埋め尽くされた青年は反動に振り回される。
青年「……?」
よろける足を四歩で立て直し、髪を振り乱して周囲を見回す。
青年(俺は今、確かに剣を振り下ろした)
青年(……消えた?)
見える範囲の街道に、黒い暗殺者の姿はない。
恐ろしげな気配もない。
青年「……叩き損ねたか」
“また沸きそうだ”と呟いて、錆びた剣を納め歩き出した。
青年の旅は、まだ続く。
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