過去ログ - お前ら死ね
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 21:55:43.22 ID:plxeBsJSO

 昼には、きっと気の迷いだと思うようにしたのだけれど、結局、私は、背中に健ちゃんが首だけ回しそっとこちらに向けている気配を確かに感じながら、彼に聞こえるようにおしっこをした。



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 21:58:11.28 ID:plxeBsJSO



 血みどろの手が窓を擦る。
 血糊が跡を引き、窓に赤く縦に流れる。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 21:59:05.91 ID:plxeBsJSO

 廊下を見るより先に、逆さづりにされた男の顔と目が合う。
 かれこれ、1時間。私の頭の中に夕食時に見たテレビ番組が再生され続けている。
 お化けなんていないの!
 幽霊なんてウソなの!
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 21:59:47.58 ID:plxeBsJSO

 血縁関係にあるなら、もっと優しくひ孫に伝えてよ。こう、手紙にさ。『ディア ひ孫。おじいちゃん、最近とーってもさみしいですぞ。今度のお盆、遊びに来てください。一緒にナスの馬に乗りましょう』くらいフレンドリーに!
 あんなテレビ見るんじゃなかったと、心底後悔する、真夏の深夜1時。
 おしっこしたい。
 でる。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:00:38.46 ID:plxeBsJSO

 私、涼宮ハルヒは、夏休みを利用して、1週間おばあちゃんの家に遊びに来ている。JRのターミナル駅から、極端に本数の減る海沿いの路線に乗り換えて、さらに臨海コンビナートが林立する地方都市の駅で私鉄に乗り換え、2両編成のディーゼル車に揺られることさらに1時間。周りには田んぼと雑木林しかない、ログハウス風の無人駅に降り立った。
 駅前には浅黒く日焼けした父方の伯父夫婦が泥に汚れたトラックで出迎えてくれていた。




31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:01:24.90 ID:plxeBsJSO

 伯父は周囲の人まで振り向くほどの大声で歓待の言葉を述べた。
 確か道路交通法に抵触するはずだが、私はトラックの荷台に乗った。
 おばあちゃんは腰を丸めた、あと一歩で球体になりそうな姿勢で、私たちを出迎えてくれた。お線香と木の匂いのおばあちゃんの家。物心ついてから10回と来ていないのに、「帰ってきた」という
感慨が胸に生まれるのが不思議。
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:02:04.36 ID:plxeBsJSO

 おばあちゃんは裏庭のスイカ畑に従姉妹を連れてゆき、今晩のデザートを従姉妹に決めさせた。従姉妹はおばあちゃんに手伝ってもらいながら、一番大きなものを持って帰ってきた。さっそく井戸水につけて冷やした。
おばあちゃん「遠いところ熱かったでしょ?」
 おばあちゃんは当たりつきのアイスを御馳走してくれた。それから、あんこ系の和菓子と砂糖の入った麦茶。靴下を脱いで、田んぼの見える縁側で足をぶらぶらさせていると、日本の夏って気がした。

以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:02:50.96 ID:plxeBsJSO

おばあちゃん「挨拶しなさい」
 おばあちゃんの声を後ろに聞き、振り向くと、健ちゃんが立っていた。
 私の記憶ではいがぐり頭のもやしっ子だったのに、いつの間にか髪を伸ばしていた。もやしっ子なのは今もそうだけど、線の細さに膨らみが出て、まるで女の子のようだった。
健ちゃん「こんにちは」
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:03:59.03 ID:plxeBsJSO

 健ちゃんが恥ずかしそうに頭を下げるものだから、私も無言でぺこりとお辞儀するしかなかった。健ちゃんは、逃げるようにいなくなった。
 伯父夫婦の末っ子で、学年は私よりずっと下。今年、中学2年生になったらしい。
 すっかり垢ぬけちゃって、あのまま、うちの学校に持って行ったら、さぞお姉さま方にかわいがられそうだ。

以下略



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:05:08.33 ID:plxeBsJSO

おばあちゃん「人見知りでねえ」

とおばあちゃんが心配そうに言う。いえいえ、あのまま育ってください。需要はありますよ。
 それから眠たくなる午後が過ぎ、なんとか外に出られるくらいの気温に落ち着いたころ、伯父は近くの神社まで散歩に行った。
以下略



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/09(金) 22:06:02.87 ID:plxeBsJSO

 今年大学を卒業し家業を継いだ俊哉さんだが、私は昔から苦手だった。大声なのは父親譲りで、遠慮のなさも同じ。まだ伯父さんが言うのならば、笑って流せることでも、俊哉さんが言うと、年齢の近さからシャレでは済まなくなる。
 俊哉さんは会うたびに、私のことを美人になった、長い髪がきれいだとしきりに褒めてくれるけれど、正直、ちっとも嬉しくはなかった。
 だから、私は従姉妹と一緒にお盆の時期恒例の心霊番組の特番を延々見てしまったのだ。
 昔から、おばけだけは、だめなのに。
以下略



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