過去ログ - 唯「ねえ、あの頃のわたし心配しなくてもいいよ」
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2011/09/10(土) 19:52:42.48 ID:PhNH+igAO
わたし―平沢唯―が運転する車は道路を順調なペースで進んでいた。
フロントガラスごしに見える世界はすでに見馴れてしまったもの、建ち並ぶ規格化された住居、ソーラーパネルののった屋根、その切れ間にあるいくつかの昔ながらの家、大きなデパート、小さなコンビニなどで埋め尽くされていた。
わたしはそれらすべてに向けてため息をつく。
もう少しで家に帰ることができる。
学校勤めで疲れた体を癒してくれるのは、たとえ誰もいなくても、我が家だけだった。
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2011/09/10(土) 19:54:15.48 ID:PhNH+igAO
すると、どこで道を間違ったのかいつもと違う道に出てしまい、右手に桜が丘高校が見えてきた。
今までの人生の中で最も輝いていた青春時代を過ごしたあの場所だ。
懐かしさと切なさが同時に込み上げてきて胸が締め付けられた。ふとみんなのことを考えてしまう。
以下略
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2011/09/10(土) 19:55:51.86 ID:PhNH+igAO
そんなふうに感傷に浸っていると突然車内に音楽が鳴り響いた。
わたしはそれがビートルズのyesterdayだとわかったので、ポケットに入れてある携帯をとった。
運転中の相手に電話をかけるなんて非常識極まりないと勝手に思いながら、憂鬱な気分で電話に出る。
以下略
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2011/09/10(土) 19:56:45.64 ID:PhNH+igAO
教師「唯先生、実はですね。明日は緊急の職員会議がはいったんですよ」
唯「え…わかりました」
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2011/09/10(土) 19:59:02.87 ID:PhNH+igAO
わたしはなんだかやりきれない気持ちになって思い切りアクセルを踏んだ。
今思えばそれが問題だったのだ。
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2011/09/10(土) 20:00:10.32 ID:PhNH+igAO
気づくとベンチに座っていた。どこにでもあるような緑色をしたベンチだ。太陽光が照りつけてきて屋外にいるのだとわかる。
自分がまだ車に乗ったままの格好、ハンドルを持つみたいに手をのばしている、ことに気づきあわてて姿勢を戻す。
周囲を見回したが幸いこちらを見ている人はいないみたいだった。
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2011/09/10(土) 20:01:37.53 ID:PhNH+igAO
不意にどこからか嗚咽混じりの泣き声が聞こえた。はじめは噴水の音かと思ったが、やはり誰かが泣いてるようだ。
わたしは改めて、今度は注意深く辺りを眺めまわす。
すると一人の少女が目に入った。俯いたまま、両手でその顔を押さえている。どうやらあの栗色の髮の少女が泣き声の正体みたいだ。
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2011/09/10(土) 20:02:59.42 ID:PhNH+igAO
唯「ねぇ、大丈夫?」
少女「ひぃぐ…えぐっ……あっ」
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2011/09/10(土) 20:04:19.09 ID:PhNH+igAO
これはどういうことだろう?
考え出すと頭がパンクしそうなのでいったん疑問をわきに押しやり、持ち前の気楽さをもって彼女に意識を向ける。
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2011/09/10(土) 20:05:57.28 ID:PhNH+igAO
大人唯「さてと……」
どうしたものか。
とりあえず今の状況を把握する必要がある。
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2011/09/10(土) 20:07:10.71 ID:PhNH+igAO
唯「……えーとね、2011年だよ?」
ということはここは7年前の世界?
7年前といえばわたしがまだ高校3年の頃だ。
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2011/09/10(土) 20:08:22.16 ID:PhNH+igAO
もうひとつ新たな疑問が浮かんできた。ここはどこなのだろう。
バックトゥーザヒューチャー理論を用いれば過去に戻るはずの地点は同じなはず。なのにわたしはこの場所を知らない。
ここは桜ヶ丘ではない。
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2011/09/10(土) 20:10:51.68 ID:PhNH+igAO
大人唯「……ここはどこ?」
唯「お姉さん、次にはわたしは誰って言いそうだねー」
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2011/09/10(土) 20:12:42.91 ID:PhNH+igAO
けれども彼女はそんなことに気づいてないようすだった。あるいは誰かに話を聞いてもらいたがっていたのかもしれない。
唯「けんかしちゃったんだ……」
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2011/09/10(土) 20:15:09.07 ID:PhNH+igAO
唯「ライブをしたらね、終わっちゃう気がしたんだ……」
わたしは卒業するのが嫌だった。
同じ大学にいくとわかっていてもなんとなく今までのままじゃいられない気がした。大人になりたくなかった。
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2011/09/10(土) 20:16:29.79 ID:PhNH+igAO
だけど今のわたしは別のこともわかっている。
終わりというのは何かをきっかけにぶつりと切れてしまうのではなくて、音楽がフェードアウトするみたいに徐々に消えていくものだということが。
大人唯「こういうのは誰かにぶつけちゃうのが一番いいよ」
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2011/09/10(土) 20:25:13.10 ID:PhNH+igAO
――わたしたちのバンドは放課後ティータイムっていうんだ
――いつもお菓子たべてばっかりなんだけどね
――でも演奏は誰にも負けてないんだよ
以下略
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2011/09/10(土) 20:26:37.12 ID:PhNH+igAO
彼女は話している間ずっと生き生きとした顔をしていた。だからそのぶん時折見せた悲しげな姿が、さらにやるせないように感じられた。
ふと空を見上げるとすっかり赤くなっていた。少し話し込みすぎたみたいだ。
大人唯「帰れるの?」
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2011/09/10(土) 20:27:34.45 ID:PhNH+igAO
唯「えっと、その、あ……だいじょうぶ……かな?」
大人唯「…わたしが桜ヶ丘までならついていこっか?」
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2011/09/10(土) 20:46:40.22 ID:PhNH+igAO
路上にはゴミが落ちていて、懐かしいなと思う。未来ではポイ捨ては法律で固く禁止になりゴミを路上に捨てる人はいなくなった。
大人唯「そういえば君はなんていう名前?」
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2011/09/10(土) 20:48:11.44 ID:PhNH+igAO
駅についた。
あまり混んではいなかった。
大人唯「そうだ。一応家の人とかに連絡しといたほうがいいんじゃないかな?」
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