231:一年中が田上の季節[saga]
2012/02/11(土) 21:25:04.97 ID:laIihRtQ0
唯は実際に澪と対峙し、そして刃を交える事で、改めて彼女の底知れぬ巨大な黒い『何か』をひしひしと感じずにはいられなかった。
唯<やっぱりまともにやっても、とても勝てそうにないよ。そうかと言って今の処うまく逃げられそうもないし……>
唯は油断なく彼女の様子を窺いながら、心の中で呟き思案に暮れる。
唯はこれまでに一柱のジーニアスを斃している。だがそれは≪スターター≫と言う余りにも不完全な状態のジーニアスに過ぎず、完全体と言えるジーニアスとの戦いは初めてである。しかもその相手が恐らくは、悪魔(てき)側の最強のジーニアスと言うのだから、思案に暮れるのも当然だと言えた。
その最強のジーニアス持ちたる澪は、余裕綽々といった様子で、薄ら笑いすら浮かべながら相変わらず見下す様な表情で唯を見ていた。
そんな澪を見て唯は哀しい気持ちになる。あの頃の澪からは想像も出来ない様に変わってしまった彼女が居た。だが彼女をそうさせてしまったのはジーニアスであり、何よりも唯自身である事が辛かった。
彼女が律を想う気持ちと、自身が憂や和を想う気持ちに何ら変わりは無い。と、少なくとも唯はそう思っている。
もし、憂や和を誰かに消された時の事を考えると、梓の時と同様、いや、それ以上に胸が張り裂けそうな思いに駆られるに違いない。そしてその仇に対し強い憎しみを抱くだろう。正に今の澪はその状態にあった。そしてその仇は誰でもない唯(じぶん)の他に無く、澪(かのじょ)に消される理由としては充分であるとさえ言えた。
唯<でも――>
唯は柄をぎゅっと握り締める。
唯「そう簡単にはやられないよっ!!!」
唯はそれでも生きる覚悟を決め、再び澪と向かい合い、かつての親友に向かって剣を振るった……。
332Res/270.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。