253:一年中が田上の季節[saga]
2012/02/13(月) 10:31:25.89 ID:I4kBIWcz0
灰色の世界から、再び平沢家のリビング(もといたばしょ)に戻された和は、早速ビデオカメラをテレビに繋げる。
テーブルには憂が用意したアルコールの缶が置かれていたが、流石に和は勿論、憂も手を付けられる状態ではなかった。
和「憂、あなたは視なくてもいいのよ。きっと、視たくないものが映っているでしょうから……」
和が憂に慮る様に声を掛ける。
憂「お願い和ちゃん…私にも視させて…私は…大丈夫だから」
だが、憂は首を横に振り弱々しいが、何処か強い意志を感じさせる声でそう答える。でも、その顔色は蒼白で瞳は不安と哀しみでふるふると潤んでいた。和はそんな彼女に胸が締め付けられ鼻の頭の辺りがツンとなる。
和「本当にいいの?辛いわよ」
和は憂を見つめ再度確認する。それに対し憂は無言だがさっきよりもはっきりと頷く。
和「……判ったわ。じゃあ点けるわね」
和はあくまでも頑なな憂に溜息を吐くと、諦め顔になりながらも意を決して再生ボタンを押す。
もしかしたら既に彼女の映像が消えてしまっているのではないかと危惧したのだが、リビングに立て掛けられていた写真には彼女の姿が有るのを確認したので、恐らくは映像も残っていると判断していた。
そして、その判断は正しかった。
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