過去ログ - 紬「メンヘラ」
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28: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:26:34.34 ID:+wTNpPwyo

唯「そういえばムギちゃん、私就職決まったんだよ」

紬「そうなの? やっぱり学校の先生?」

唯「うん。なんかずいぶん遠回りしちゃった気がするけどね。どうにか夢の音楽教師にもう一回なれたよ」

紬「へぇ〜。唯ちゃん頑張ったんだね」

唯「まぁね。まだまだやりたい事もあるから、がんばらないと」

紬「やりたいこと?」

唯「うん。知りたい?」

そっと左手首のリストバンドに触れて、問いかける。
その下の傷は、もう癒えている。結局、私が引いた赤いラインはたったの五本。ムギちゃんとは、ムギちゃんの苦しみとは比べ物にならないほどの子供の遊びだったと言えるけど、あれも今の私を形作るためにはきっと必要だったんだ。

紬「うん。教えてくれる?」

唯「……鳥籠から、出してあげたい鳥さんがいるんだ。その子の羽根は折れちゃってるけど、どうしても私は真っ白な鳥籠から出してあげたいんだ」

紬「………」

唯「鳥籠から出してあげて、その細い足で一緒に歩いて、好きだよ、って何度も囁いて。愛し合うだけの毎日を過ごして。それが叶わなくなる頃に、一生に一度の、空への散歩をしたいんだ、一緒に」

紬「……それ、は……」

唯「馬鹿な夢かな? 自分勝手な、先の事なんて考えてない馬鹿かな? 私」

その問いに、ムギちゃんは当然の如く首を振って。
ふわふわの髪の毛が、やさしく宙に舞って。大好きな暖かい声で、いつものように、私を後押ししてくれる。


紬「……とっても、とっても素敵な夢だと思う」

唯「……ムギちゃんが望むなら、そんな夢を、私が『見せて』あげるよ」

夢は、目を閉じて見るものだ。
目の見えないムギちゃんにも見れるし、見る権利はあるんだ。絶対に。

紬「うん……ちゃんと『見せて』ね? いつか、きっと」

唯「もちろん!」


ムギちゃんのためなら、何でもするよ。
見たいと言うなら見せてあげる。見えないものでも、見せてあげる努力をするよ。
そもそもが『愛』という目に見えない絆で繋がってる私達だから、絶対に無理なんかじゃない。


愛。希望。幸福。未来。
本当に欲しいものほど目に見えないこの世界で、目の見えないムギちゃんと一緒に、私は謡う。


――二人だけの幸せの詩を、永遠に。


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