5: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:02:06.44 ID:+wTNpPwyo
――半年ほど前、私は婚約『させられた』。
彼は許婚……と言えるのかどうかわからないけれど、とりあえず政略結婚的な面もあったように、今では思う。全く面識のない相手と結婚しろと言われたのだから。
そして婚約からそのままなし崩し的にスピード結婚。こちら側も相手方も結婚に意欲的というか貪欲で、私が意見を挟む間なんて皆無だった。
……私の感情は無視されていたとはいえど、救いはあった。よくありがちな『相手が下衆野郎』というオチにはならなかったことだ。相手は私以上に箱入り息子で、女性に対して免疫すらないほどだった。
だからこそ私の両親も安心していたとも言えるし、そんな彼の相手方に私が選ばれたことも誇らしかったのだろう。
でも、だからといって私の意志を黙殺していいとはならない。両親に歯向かうことはしたくないけど私にも我慢の限界はある。今回はそれが『こういう形』で現れてしまっただけの話。
……こういう『冷め切った夫婦』を演じる形で。彼を表面上でしか『愛さない』ことで、結婚を決めた人達に心の中だけで反発する幼稚な喜劇を演ずるのだ。
皆の前では仲睦まじい夫婦。しかし二人っきりになればそっけない。まさに仮面夫婦だった。
そして私は、あろうことかその冷め切りっぷりを皆に相談している。いや、相談ではない。愚痴だ。
皆は心配、あるいは激励の意味でメールや電話で私に連絡を取ってくれた。それに私は最低の形で応えたということになる。それに気づいたのはだいぶ後だったけれど。そういう『冷め切った夫婦』というのは愚痴を吐くものだと思っていたから。
結果、私を気遣ってくれた皆は距離を取ることこそしなかったものの、皆で集まるのはしばらく止めよう、という結論を出した。私が落ち着くまで。私の為に。私のせいで。
本当に何もかも私が悪い。皆が集まれなかったことも、皆が結婚に対して悪いイメージしか持たなくなってしまったことも。さっきの「ごめん」は、もちろんそういう本心から来ている。本当に、ずっと謝りたかった。何もかも私のせいなんだ。
……そう、思っていたのだけど。
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