過去ログ - マミ「鹿目さん、私のご飯は…?」まどか「昨日食べたでしょ」モグモグ 分岐ルート
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235:ほむマミ派(巴マミの回想)[saga]
2011/10/09(日) 19:33:05.67 ID:i5CA4IfYo


『巴もさ、一人で色々と大変だろ?』

 マミが中学二年生の時のこと。 
 進路指導室で、担任の男性教師に上記の台詞を投げかけられた。

 最初は意味がわからず、マミはしばらく考え込んでしまった。

『皆まで言わせないでくれよ、……わかるよね?』

 担任の粘ついた言い回しによって、マミは言外の意味に気付く。
 次の瞬間、マミは自分を取り巻く状況そのものに心底ガッカリし、心の中でこう呟いた。

「舐めやがって」

 口にしたことのない言葉だったし、これからもそんな予定はないけれども、
 あの時の自分の心情をこれより上手く言い表せる言葉を、マミは未だに思いつかない。
 
 進路や内定を保障する代わりに……という事だったのだと思う。
 そんなことを確かめる事などせず、マミはその場をとぼけて立ち去った。
 
 その後、担任からの呼び出しを二回無視した上で、 
 三回目の呼び出しに応じ、若干の怒りを滲ませた男性教師の失言を隠し持っていた携帯型のテレコに録音した。
 ハッキリとした拒絶の意を伝えるマミの発言部分まで全て。
 
 相手が理性的な仮面を被った人物でまだ良かった。
 舌打ちが聴こえた気がしたけれども、全てを遮断し、マミは急いで家に逃げ帰る。
 玄関のドアを閉めた直後、マミはドアにもたれ掛かるようにして大声で泣き崩れた。
 

 次にマミがしたことは職員会議に無言で乗り込み、
 録音した内容を全職員の前で聞かせるという暴挙。
 相談など出来る相手などその時のマミにはいなかった。
 警察へ行ったとしても、悪戯扱いされてしまう恐れがある。
 
 マミが懐からテレコを取り出した時、
 担任教師の顔色がみるみる青ざめていくのが、マミの視界に入ってしまった。
 
「だったら! どうして!」

 心の中でマミは必死に叫び続けながらテレコの再生ボタンを押した。


 直後の職員室の様子を一言で言い表すのならば、『滑稽』。これに尽きる。
 担任の声も喋り方も特徴的であったため、
 誰が何をしようとしたのかが、一度聴いただけで全職員に伝わった。
 何より、当該の教師のうろたえ振りで、録音内容が紛れもない事実であると知れ渡ったのだ。
 その点においては、マミの取った行動は正解だったのかもしれない。

 
 校長やら、教頭やら、学年主任やらが、事情を訊くという名目で執拗な口止めをマミに迫った。

「はい」 「余計なことは喋りません」

 この二つの言葉を嫌になるほど、マミは繰り返した。
 他にも何かを喋った気もしたけれど、今でもそれしか思い出せないし、思い出したくもない。
 

 結局、担任教師は自主退職という形でマミのいた中学を去り、
 他県の中学で教師として働くことになったということだ。
 半年後に結婚を控えていたそうだが、そんなことはマミには何の関係もなかった。

 
 口止めが済むと、『預かる』という言葉を盾にテレコを取り上げられ、
 マミは『監視役』の女性教師に自宅まで車で送り届けられた。全くもって周到なことだ。

 最初の内は必死で耐えていたマミだったけれど、堪え切れずに途中で嘔吐してしまった。
 どうやら女性教師の私有車だったらしい。忌々しそうにマミを見る瞳が今でも鮮明に思い出される。

「わざわざ自宅まで送り届けて頂いたにも係わらず、粗相をしてしまって本当に申し訳ありませんでした」

 上手く言えた。


 寝室までふらふらと歩き、ベッドに倒れこむ。
 このまま目が覚めなければ、父親や、母親に会えるかもしれない。
 ありえない夢を抱いて、マミは夢も見ずに眠りに着いた。

「おやすみなさい」


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