過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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514:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/19(月) 03:38:09.26 ID:+QGOG7/do

「……あなたはどうして、何故、私に近い存在になったのですか?」

「それを語ったところで意味はないし、つまらないだろう」

「そうやってキュゥべえのようにはぐらかすんですね」

 ベールのように薄く霧のように希薄なそれの表情に不満の色が浮かび上がる。
 いかに人間離れした存在であるとはいえ、どうやら羞恥の概念や誇りといった物は残っているらしく、
 インキュベーターのような詐欺師紛いの生物と同類扱いされたことに腹を立てたようだった。

「失敬なことを言うな。……あえて言うなれば、そう、私は個人的な復讐に失敗したのだよ」

「個人的な復讐?」

「愚鈍で無慈悲なわれらの父に対してね。もっとも私は主を信じたことなど刹那さえなかったのだし、八つ当たりに近いが」

 意味深な言葉をぼそぼそと呟くと、それは片眉をくいっと吊り上げた。
 つまらないだろう、と言いたげなその表情に少女は自然と唇を尖らせる。

「あなたの話はよく分かりません」

「それが魔術師、オカルト狂いの狂人というものだよ。こと私に至っては重症の部類に含まれるだろうな」

 自嘲とも取れる言葉だが、それは本心で言っているようだ。
 何が面白いのかそれは肩を揺らしてくぐもった笑い声を上げた。
 上げてから、それはどこか遠く――白い空間の向こうに存在する無限の世界を見つめて呟いた。

「……狂人は常人に打ちのめされたが、考え方だけは人間のそれに近づいた。彼には感謝せねばならんな」

 少女はその言葉が持つ意味を知らない。

 それの言う彼が誰で、
 両者の間に何があったのかすら知らない。



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