過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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715:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/02/14(火) 00:50:06.08 ID:aqVyypvoo

「……倒したみたいだけど、結局呆気なかったわね……」

 呟き、流れる光の残滓に乗って宙を漂っていた本――魔導書ファウストの原典を掴むほむら。
 左手のソウルジェムを一度窺い、余裕があることを確認してからため息をつく。

「念には念を入れておきましょうか。……魔力探知、反応無し。ただし拾い物はあり」

 右手に持った魔導書を抱え、軽く首を回す。
 それから何気なく地面に目を向けたほむらは、右の眉をぴくりと立てた。
 視線の先には、いつの間に駆けつけて来たのやら。膝に手を着くステイルやさやかの姿があった。
 それに気付いたほむらはは機械弓を携えたまま黒髪をかき上げて、ゆっくりと高度を落とし始める。

「……やっと終わったわね」

 感慨深げに呟き、自身を照らしている天をわずかに見上げて目を細める。
 ワルプルギスの夜の『魔女の殺息』を逸らしたことと魔女自身が完全に倒されたことで、空には雲ひとつ無い。
 この見滝原市と太陽との間を遮る障害は、全て取り除かれたのだ。
 ほむらを縛っていた歪んだ願いと時間も、因果の鎖も、もう無くなった。

 おーい、と大きな声でこちらを呼びかける声がする。
 アンタってヤツは、と呆れながら感心する声も聞こえる。

 ふたたび視線を下に向ければ、そこには大きく両手を広げているさやかと肩をすくめる杏子がいた。

 そのすぐ近くには仏頂面のまま居心地悪そうにしているステイルの姿もある。
 彼の背後では年齢を考えずに大げさにはしゃぐ建宮や、涙をぼろぼろ流している五和の姿もあった。
 彼女の隣で地べたに寝転がっているのは香焼だろうか。
 影になって見辛いが、それを介抱する対馬と野母崎の姿も見える。他にも色々、まだ名前を覚えてないのもいる。

 それを見ていたら、なぜだろう。
 急に何かが胸にこみ上げてきて、柄にも無く目頭が熱くなった。
 あれだけ疑って掛かり、最初はまともに話すら交わさなかったというのに、まったく彼らは。

 でもそれ以上に、ほむらにはある思いがあった。



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