過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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(神奈川県)
[saga]
2012/03/18(日) 01:57:48.68 ID:HhynQx1uo
「……あはっ」
ようやく口に出せた言葉は、もはや言葉の体を成していなかった。
ただ自分の気持ちを素直に表すことの出来る物。
すなわち笑い声だけが、静かに灰色の世界に響いた。
そんなまどかの様子に違和感を覚えたのだろう。キュゥべぇは怪訝そうに首を傾げた。
「何がおかしいんだい?」
違うよ、と呟いて首を横に振って見せる。
振ってから、また『違う』と否定した事に笑みを浮かべる。
いったいあとどれだけ彼の言葉を『違う』と否定すればいいのだろう。
そんな小さな疑問を胸にしまい込みつつ、まどかはキュゥべぇに向かって頷いた。
「優しいなって、そう思っただけだから」
不思議そうに尻尾を振るキュゥべぇから目を背け、そって胸に手を当てる。
先ほど喉が詰まって何も言えなかったのは、彼の言葉が辛辣な物だったからではない。
言い返すだけの理由を持っていなかったわけでも、彼の剣幕に呑まれたからでもなく。
彼の言葉に、胸が温かくなったからだ。
「あなたが怒ってるのは、これまでの魔法少女……マミさんたちが貶されたと思ったからなんだよね」
不規則に揺れていた尻尾がピタリと止まったのを、まどかの瞳は捉えた。
それが指し示すものがなんであるのかをまどかは知っている。
「だから、それは違うの」
相手の言葉を待たずに告げた。
「私が契約しない、一番の理由は……私をここまで導いてくれたマミさんの想いを無駄にしたくないからなの」
告げてから目蓋を閉じる。
意識を二週間近く前――主観時間で言えばそれよりもはるかに昔へ飛ばす。
あの時、見滝原の病院で交わした会話を、告げられた言葉を一字一句間違いなく思い出すために。
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