過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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946:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/28(月) 02:55:52.01 ID:9M6RkmvRo

「……考える必要なんて、無いんじゃないのか。違うか、インキュベーター」

 人間の思考を遥かに凌ぐ速度で行われる演算に、男の声が割り込んだ。
 その声は、虫の息状態のままがくりと上体を起こしたステイルからもたらされたものだった。
 その姿は今にも崩れそうにふらふらと揺れていて、現実から剥離した幻か、現実から離脱した幽鬼にすら見える。


「君は僕の思考を読み取ったのかい?」

 ステイルの問いかけに、インキュベーター――キュゥべぇは疑問で返した。

「あいにくその手の術式は得意じゃないんだ……が、僕だってどこぞの男子高校生よりかは空気が読めるのさ」

 ふん、と鼻で笑う音。
 突拍子もない例えに非難めいた物言い。
 彼の意図が分からない。

「誰だって、あの光景を見れば胸が熱くなるだろうさ。あれは誰もが憧れる、漫画か何かに出てくるようなヒーローだ」

 脈絡の無い言葉に、キュゥべぇはぐるりと首をめぐらしてステイルの顔を覗き見た。
 ステイルが正気でいるかどうかを確認するためだ。
 血を失いすぎて自分を保てられないのかもしれないと判断したからだ。
 そして、その判断はおおむね間違ってはいなかった。ステイルの瞳は焦点が合わず、虚空を見定めている。

 半死半生の世迷い言を聞くことになんら意味はない。
 無視して構わない。


 しかし、


「君はそのヒーローの活躍に感動して、心を震わしているのさ」

 続く言葉を、キュゥべぇは――インキュベーターは無視できなかった。



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