過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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967:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/28(月) 03:09:42.64 ID:9M6RkmvRo

 それは上空へ流れるエネルギーの滝の中で静かに身構えながら口角を吊り上げた。
 捩れた物理法則に従う滝の中で、静かに光が爆ぜる。白く、あるいは黒い、透明色をした薄い輝きが広がる。

「まずは舐めた真似しやがる気色悪ィ翼を切り離す。オマエの力でなンとかしろ」

「――人使い、荒いですね」

「そォいう台詞は人間になってから吐け。……行くぞ」

 ほんの僅かな時間、瞳を瞬くその刹那。
 上昇する滝の中から飛び出た“力”の塊――光弾が躊躇い無く撃ち出された。
 それは“力”であり、光の塊であり、翼を生やした天使にすら見えるエネルギーの塊だ。
 大気、重力、結界内の魔力。ありとあらゆるエネルギーの方向を捻じ曲げて、それはなお加速する。

 そして僅かな時間、瞳を瞬き終わるその瞬間。
 翼を生やした輝く光弾が、半ば千切れかかっていた魔女の翼の先端に突き刺さった。
 否、正確には魔女の翼に絡みついた。

「そいつはくれてやる。どォせ殺したって死なないような存在だからな」

 上昇を終えて薄らいでゆく滝の中で、言葉が紡がれる。
 同時に光弾がその翼を大きく広げ――最終加速。
 正真正銘光り輝く科学の天使と化したエネルギーに引っ張られて、魔女の翼が大きく脈打った。

 ずるり、と魔女の身体から翼が引き抜かれ、結界の上空へ放り出される。
 吐き気を催す臭気を放ちながら、目が腐るような醜い漆黒の血飛沫を上げながら。
 魔女の身体――本体であり母体である“暁美ほむら”から切り離された“暁美ほむら達”が、おぞましい悲鳴を上げる。

 翼だけとなった状態でなお、それははためく。
 例え母体である魔女本体から切り離されても、実質的な能力を保有するのは翼の方なのだ。
 それは複数の魂がこびり付いた状態でいびつな孵化を遂げたせいかもしれない。

 翼がはためき、粘液状の刃をきらめかせて科学の天使を粉微塵にする勢いで切り裂いた。

「ごめんなさい、ここまでです――!」

 科学の天使はその姿を粒子レベルにまで切り裂かれながら、それでも最後に言葉を残していった。



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