過去ログ - 少女「ハッピーバースデー、つかまえて」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 02:20:56.56 ID:bGWjb4oAO
9月30日から三週間ほど前の、ある日。

僕が彼女に会いに行こうと決めた日があった。

僕はそれを、彼女に伝えた。

僕「……誕生日には」

女「え?」

僕「女の誕生日辺りには、会いに行くよ」

僕「絶対」

女「……本当?」

僕「うん。絶対行く」

女「まあ、当然ね。誕生日と言わずさっさとこっち来なさいよね」

まるで、ワガママなお嬢様みたいな口調で彼女は僕に言うのだった。

僕は笑いながら、彼女と話をしていた。

女「……あ、明日休みなんだからこっち来なよ。車で四時間くらいなんだから、僕ちゃんなら楽勝でしょ?」

電話越しの彼女は、明るく優しく、そしてイジワルだった。

いつもと一緒だ……。

そう僕は。

たとえ、これが絶対に報われない恋だとしても……僕は彼女に会いたかった。

彼女にもう一度……会いたかったんだ。


2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 02:28:31.26 ID:bGWjb4oAO
9月30日の昔。

今から昔に数えて季節が百つほど……めぐった秋の日に彼女は生まれた。

それは、離れた場所にいた僕には想像も出来ないくらいに遠い世界。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 02:40:31.91 ID:bGWjb4oAO
僕(……彼女が生まれた日、か)

誕生日、誰にでもその瞬間はやってくる。

いや、生まれた後にはやってきた、と言うべきか。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 02:45:59.57 ID:bGWjb4oAO
僕「……相変わらず。いつもの女だね、変わってないよ」

女「そう? 僕ちゃんだって変わってないでしょ? 今も昔も、ずっと」

僕「……」
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 03:10:05.44 ID:bGWjb4oAO
女「……半年」

僕「え?」

女「半年ぶりくらいだよね、会うのって」
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 03:18:38.93 ID:bGWjb4oAO
女「だから、三週間だってあっという間だよね?」

僕「……どうだろうね」

僕はちょっとひねくれて答えてみた。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 03:29:37.20 ID:bGWjb4oAO
女「……あ、もうこんな時間」

僕「そろそろ切る?」

女「そうだね、電池も少ないし……そうしよっかな」
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 03:38:05.86 ID:bGWjb4oAO
彼女の返事を最後に、電話が切れた。

今僕の耳を打ち付けているのは、無機質な機械音だ……。

僕は電源ボタンを押し、その無機質な音を終わらせる。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 03:58:31.34 ID:bGWjb4oAO
僕「寂しさ……いや、それは無いか」

だって彼女には。

将来を約束した恋人も、空白の夜を埋めてくれる友人だっているはずなのだから。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 04:07:44.03 ID:bGWjb4oAO
僕「……寝るかな」

思考が止まる。

眠い証拠だ……。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)[sage]
2011/09/18(日) 04:13:46.09 ID:GVMTteQno
ひさしぶりだな!


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 04:17:58.13 ID:bGWjb4oAO
僕「……」

意識が飛ぶ。

僕は眠りの世界へと落ちていった。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 04:47:59.43 ID:bGWjb4oAO
……。

そして、9月30日。

今思えば、あの時……。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:02:48.13 ID:bGWjb4oAO
僕「……」

今も僕の耳には、受話器から流れてくる友人の淡々とした声が響いていた。

彼女が……死んだ。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:11:16.25 ID:bGWjb4oAO
僕「……確か、久しぶりに来たこの町を歩きながら」

それから……。

「……くすくすっ」
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:22:12.36 ID:bGWjb4oAO
僕「……なんだよ」

少女「わ、そんな喧嘩腰にならないで下さいよ」

正直、どんな気分かもわからないんだ。
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:28:59.84 ID:bGWjb4oAO
僕「……」

僕は少女を無視するように、歩き出した。

少女「わ、わ、わ。ちょっと。待って下さいってば」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:38:02.13 ID:bGWjb4oAO
少女「ふふっ」

僕「……!」

少女「わあ、ケーキ。美味しそうですね。甘い物好きなんですか〜?」
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:45:36.62 ID:bGWjb4oAO
少女「ん〜、チーズケーキか〜」

少女は僕の言葉などお構い無しに、箱を開け中のケーキを取り出し、そして……。

少女「……ま、美味しいですかね〜。あれ、これってちょっと高級品?」
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 05:51:02.69 ID:bGWjb4oAO
少女「……あ、ごめんなさい。ケーキ食べちゃって」

僕「……今さら謝るなよ。勝手に食べておきながら」

少女「ふふっ、じゃあちゃんと弁償しますよ。ちょうど向こうにケーキ屋もありますし……」
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/09/18(日) 06:00:30.91 ID:bGWjb4oAO
少女「ま、ちゃんと弁償しますから。ささ、行きましょ行きましょ」

僕「……もう」

少女「ふふっ?」
以下略



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