過去ログ - QB「魔法少女になってよ」らんま「てめー、ぶん殴られてーか?」
1- 20
6:らんまマギカ1話4 ◆awWwWwwWGE[sage]
2011/09/25(日) 15:07:03.04 ID:sF5yimZr0
「そうなんですね。…いきなりさらっちゃった上にチカン扱いしてしまってすいませんでした。」

少女は話を終わらせるためにまとめはじめる。

「いや、むしろ世話になったな。服まで借りてしまって。」

青年も長居をするつもりはないらしい。

話が終わったと判断してそそくさと立ち上がる。

「いえ、着る人のいない服ですから。もらってくれて構いません。」

「じゃあな、ミルクうまかったぜ。」

青年は手を振って玄関から外へ立ち去った。

(『ミルクうまかったぜ』か…)

少女はそんな台詞を堂々と男らしく言う青年におかしさを感じた。

(でも、悪い人じゃなかったみたいね。)

もしかしたら秘密を打ち明けても信じてもらえたかもしれない。

そんなほのかな後悔が少女の胸に去来する。

「名前ぐらい、聞いておいてもよかったのかな?」

ひとりぼっちの広い部屋で、少女はちいさくつぶやいた。

「あかねさん…」

重い荷物を背負いながら、男はちいさくつぶやいた。

男は見知らぬ町を歩いている。

右も左も分からない、まるで迷路のような町だ。

こんな状況の時、彼の心をはげますもの、それは今口ずさんだ『あかね』という女性の存在だった。

しかし今日は不思議と『あかねさん』の顔は思い浮かばなかった。

かわりに一昨日会った少女の顔が思い浮かぶ。

少女といってもおそらく2つか3つぐらいしか歳は変わらないだろう。

小豚となった自分をもてなしてくれた優しい少女だった。

正体を知っても丁寧に対応してくれた。

もしご両親にでも見つかっていればえらいことになっただろうに…

そこまで考えたところで、男の頭の中に疑問が浮かんだ。

なぜあの時、彼女の家族はいなかったのか?

独断でペットを拾ってきたというのに誰かをはばかる様子もなく堂々と自宅に入っていったのはなぜか?

それに貸してくれた男性物の衣服についても「着る人がいない」と言っていた。

もしかして、彼女は家族もおらず、ひとりで暮らしているのだろうか?

男は、少女に同情をいだいた。

何ヶ月も親が家に帰ってこない、彼はそんな家庭環境で育ってきた。

男子らしいたくましい態度していながら、男は孤独に暮らすことの寂しさをよく知っていたのだ。

「…」

『あかねさん』の名をつぶやくように、男は少女の名前をつぶやこうとしたが
できなかった。

少女の名前を知らなかったからだ。

「名前ぐらい、聞いとけばよかったな。」

男はそんな独り言を虚空に放した。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
928Res/1144.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice