過去ログ - 【ストパン】土方圭助の憂鬱【土方×もっさん】
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980:1[saga]
2012/09/17(月) 23:17:59.13 ID:1gJ8EHUc0
「正直、坂本少佐の事がちょっと羨ましくてな」
「羨ましい、ですか」
「ああ。こちとらノーブルウィッチーズだのなんだの持ち上げられても、結局は政治的駆け引きの中で生まれた鬼っ子でしかない。現に部隊運営のノウハウすら他の部隊に頼らにゃならん体たらくだ。そう言うのが少しもどかしく思う時もあるのさ」
「大尉…………」
「B部隊との統合の話が出るたびに潰されるのは何でだかわかるか?B部隊の隊員はほとんどがリベリオン人だからな。ノーブルウィッチーズの隊員としてはふさわしくない、だとさ。初めてそれを聞いた時は馬鹿馬鹿しくて言葉も出なかったさ」

大尉は肩を竦めつつそう言うと、月明かりに照らされた庭園の方へと目を向ける。

「私の生まれ育ったロマーニャがネウロイに侵略されようとしてるのに、お偉いさんどもは愚にもつかん政争にうつつを抜かして現場の事なんぞ省みようともしない。だから少佐みたいに、国のため、民のために何も考えずに一身を捧げている人間が羨ましくてな。そのやっかみが入ってあんな言い方をしてしまった。何とも無様な話だ」

そう言って壁に拳を打ち付けるヴィスコンティ大尉。
その横顔は、やはり自らの国に誇りを持ち、その民を案じる「貴族」そのものの姿であった。
欧州で「高貴なる義務(ノブレス・オブリージュ)」などと呼ばれているものの大尉なりの発露の仕方なのだろう。

「…………そこまでの覚悟をお持ちの方に私ごときが何か申し上げることはありません」

私の言葉の意図を察したのか、大尉が苦笑する。

「ま、あんたからすりゃ『謝る相手が違う』わな。明日にでも少佐には謝っとくよ。それでもあんたには一言言っときたくてさ」
「い、いえ。私もちと軽率であったと」
「じゃあお互い様ってことでいいかな」

そう言いながら手を差し出してくる大尉。
少し躊躇った後、私はその手を固く握った。


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