907:ブラジャーの人[saga]
2012/02/29(水) 13:08:55.53 ID:p4d+d1iL0
「打ち止め」
「ん…?」
「悪ィが、足が痺れちまった」
「あわわわ、重ね重ね失礼しました、ってミサカはミサカはあなたのお膝から退去してみたり」
行儀作法の手習いのようだ。見咎めるような一方通行の視線を意識し、そうっと立ち上がる。
音も出さない忍び足でソファに近づき、着地点を振り向きながら腰を降ろした。
(これなら文句ないだろー、ってミサカはミサカは合格判定を求めてみたり)
いかがですか? と目で問いかけたら、二度、三度、首を縦に振ってもらえた。
すぐに青年も隣へやってきた。ついでに愛犬もやってきた。一方通行は手で「待て」を命令し、ブランカを床に待機させる。
今は、いや、今後しばらくは、打ち止めに激しくじゃれつくのを控えさせなければ。
「うーん、ミサカがママかぁー」
またもすぐに、少女は一方通行にもたれかかる。硬い腿を枕にして、お昼寝するようなポーズで目を閉じた。
青年は打ち止めの頬にかかる髪を避け、その横顔を見降ろす。
じわり、と少女の瞼の縁に涙が滲み、一方通行の体に緊張が走った。
怖いのか。
楽しい高校生活と、これからの青春を謳歌するどころではない事態に躊躇いを感じているのか。……焦る。
つぅ、と、涙が鼻梁をまたいで流れ落ちる前に、自然と動いた指が雫を拾う。もう片方の目からの涙は、きっと自分のズボンに染み込んだだろう。
「パパ」
「あァ?」
「ふふふふ、あなたがパパ」
「……」
ぽろぽろ、涙を流しながら、打ち止めの口の端がもち上がった。
「嬉しい、か?」
「分からない……。でも涙と笑いが込み上げてくるの、ってミサカはミサカは事実だけを申告してみる」
「そォか」
だったら、大丈夫だろう。心配が杞憂に終わって、青年の体から力が抜けていく。
「あなたは? ミサカが妊娠してどう思った? お腹にあなたの赤ちゃんがいるんだよ」
「俺は」
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