926:ブラジャーの人[saga]
2012/03/02(金) 23:10:12.27 ID:JnPct9QC0
打ち止めは高校を中退することに決めた。一方通行は「休学する手もある」と言ってはみたが、それは聞き入れられないと予想はついていた。
頑張って主席合格を勝ち取って入学した。中間、期末テストでは、再度一方通行を家庭教師にして高順位を保った。
手芸部も楽しいと言っていた。いつか可愛いワンピースを作ると意気込んでいた。
友達も増えた、と……
子供を身籠ったことで、それらは打ち止めの手から零れ落ちることになったのではないか?
多くの若者が享受している人生の喜びを、途中で奪われることのなったのでは?
「またネガティブ思考に陥っているな?ってミサカはミサカは眉間の皺を伸ばしてみたり」
「…、ヤメロ」
「あははははは、変な顔―!」
バツの悪そうな舌うちが鳴る。少女は上半身を起こして、一方通行の首に腕を回した。彼は、打ち止めの体に僅かな負担もかけまいと、急いで肘をついて抱擁に応える。
「ミサカに赤ちゃんをありがとうね、ってミサカはミサカは気遣いも裏も無い、率直な気持ちを告げてみる」
「………」
「一晩経って、何と言いますかね、…幸せなの」
「………」
「これから大変だけど、負ける気全然しない。きっと大吉体質が二倍になってるんだよ」
「すげェ論理だなァ」
「なんでぇ? 納得できるじゃない。ミサカと赤ちゃんで二人分の幸運、ってミサカはミサカは今年は中吉のあなたを揺すってみたり」
大人しくしてろ、と、一方通行は打ち止めの頭を自分の肩に押し付けた。
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