過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:2
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/10/30(日) 00:45:49.50 ID:F+67KNi+o
 僕ですらそうだ。央輝はどうかはわからないけれど、繰莉ちゃんだって思うところはある筈だ。
 ましてやアヤヤは瑞和に憎からぬ思いを抱いていて、紅緒とも真雪とも仲は良かった。仲がいい、という点では芳守もそうだ。
 だから、素直に頷かれるなんて最初から期待してはいなかった。少なくとも、僕は。

智「……逃げちゃう、っていう選択肢も一応考えたんだけどね」

アヤヤ「……逃げる、ですか?」

 僕の言葉に戦わずにすむのか、と希望を持った瞳をアヤヤは向ける。
 けれど僕はその輝きに答えることはできず、力なく首を振った。

智「ここで逃げるっていうことは、僕らの持つ全て、社会的地位、住居や財産、家族や友人何もかもをかなぐり捨ててどこか遠くヘ行くってこと」

央輝「そうでもしなければ、この大規模な戦争からは逃げ切れないだろうな。裏切り者としてカエサルに晒される危険性を考慮するなら、だがな」

繰莉「十中八九、そうなるだろーね。そうなったら右も左も敵だらけ、流石に九ツ魂持ちの繰莉ちゃんでも生きて帰れる気はしないなぁ」

 僕らが連続して『逃げる』選択肢について考察すると、アヤヤは押し黙った。
 命令に背けばカエサルに晒される恐れがある。それがあるために選択肢は『戦う』か、『逃げる』のどちらかしか存在しない。
 ……逃げられるのなら、僕だって逃げたい。けれど、それは裏切ることになってしまう。
 皆を、溜まり場にいる皆を。隣の任甫さんや、惠、それに宮和だって。皆を捨ててしまうことになる。
 そんな選択肢、僕には選ぶことはできない。

智「……それに――――まだ、僕は聞いてない」

芳守「……?何が?」

智「ううん、こっちの話。気にしないで」

 夜子の事。
 一年前、酔っ払った夜子は僕にすこしばかりの本音を見せた。
 ただ、それだけだった。
 あれから一週間から二週間に一度のペースで会っているけれど、そこまで深入りすることはなかった。
 ……懐き度はそれなりに上がったのだけれど。


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