過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:2
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46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[saga]
2011/11/13(日) 22:02:32.68 ID:dPbISZMxo
夜子「……コミュの世界を手に入れることは、レギオンの、私達の――五樹の悲願」

 たっぷり十秒強の時間を経て、夜子は答える。
 それは立派な回答といえる。レギオンの幹部としては模範的な答えだろう。
 けれど、僕はそんな答えには惑わされない。

智「夜子ちゃん。本当はどういう意味かわかってるよね?」

夜子「…………ちゃん、つけるな」

 搾り出したように言われた訂正。けれどそのあとは続かない。
 眼が僕から外れて空を見る。
 取り繕おうとしているのか、或いは自分の心を探っているのかはわからない。僕は多少なりとも人は眼の動きで何を考えるかを知っているけれど、その考えも放棄した。
 自分の心を吐露するにしても、話題を逸らして茶を濁すにしてもそれは夜子の答えだと思うから。

夜子「わた、しは…………」

智「……夜子は?」

夜子「………………」

 心細そうに、夜子の視線は漂う。口は何かを紡ごうと半開きになったまま動かない。
 しかし、僕の眼と合わさったその一瞬で理解した。

 ――『わからない』。

 夜子は自分自身の心すらも『わからない』ことがわかった。
 我斎に仕えたい気持ち。我斎の心がわからなくて知りたい気持ち。
 他にもあるのかどうかはわからないけれど、様々な想いがごちゃまぜになって道を見失っているのだろう。


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