過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:2
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970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/16(土) 01:53:05.58 ID:cjDg07dgo
 時間が経つのはあっという間。
 〈うさぎ〉ちゃんの家には門限があるらしく、六時が近付くとしきりに時計を気にしていた。
 そして時間が五分前に迫った頃、〈うさぎ〉ちゃんは大きなため息を吐いた。

智「そろそろ?」

〈うさぎ〉「! はい……」

 深く、肩を落とす。
 それ程までにこのデートが口惜しいのだろうか。
 もしそうだとしたら、僕も嬉しい。

智「どう? 満足できた?」

〈うさぎ〉「いえ……いっ、いやっ、はい! 満足できました!」

 一瞬本音が漏れて、慌てて取り繕う。
 なんとなく、自然にその頬を撫でた。
 流石に柔らかく、そのまま髪の毛をくるくると指先で遊んでから離す。
 終わった頃には〈うさぎ〉ちゃんの顔は空に負けじと真っ赤に染まっていた。

智「……何かあったら、相談に来ていいからね?」

 例えば、イジメの相談。
 例えば、勉強の相談。
 例えば……新しい恋の相談。
 正直、ここまで僕がするのはあまりない。 けれど関わってしまったのだ。
 だったら、とことんまで幸せを願いたい。
 その気持ちが少しでも伝わったのか、〈うさぎ〉ちゃんはデートを許可した時のような満面の笑みで強く頷いた。

〈うさぎ〉「はいっ!」

 そうして、〈うさぎ〉ちゃんとのデートは終わる。
 見えなくなるまで手を振って、振って、振って。
 そうして、僕らはただの先輩と後輩になったのだった。


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