過去ログ - まどか「無限の中のひとつの奇跡」
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21:視点:美樹さやか ◆oQV5.lSW.w[sage saga]
2011/10/04(火) 02:41:52.53 ID:oDJk8X6O0
「――絶対に餡入り焼き饅頭が邪道だなどという大人にはならないこと!」

朝のHR、のっけから全壊――全開な早乙女先生。はいはい、またダメだったんですね。
ちなみにさやかちゃんは餡入り派だと言ったら、仁美にゲジゲジを見るような目付きをされました。

「はい、あとそれから、今日は皆さんに転校生を紹介しまーす」

そっちを後回し――って
それだと転校早々いきなり、焼き饅頭の餡の有無について聞かれたりしかねない訳か。
正しい順番ですね、早乙女先生。

「じゃ、暁美さん、いらっしゃーい」

入ってきたのは、長く綺麗な黒髪を二股の三つ編みにして、赤く細いリボンを結んだ、赤縁眼鏡の子。
顔立ちは、結構可愛いかな。外見だけで判断するなら、大人しいタイプの印象。

「暁美ほむらです。宜しくお願い致します」

凛とした声で名乗り、深々と頭を下げる転校生。大人しいというか、物静かなタイプ?
……いや違う、何だろう。単純に暗いとか、そういうんでもない雰囲気。

――憂いの陰を帯びた少女、こんな感じの表現が、一番ぴったりくる気がする。

……え?

気のせいかな。今、じっと見つめられたような……

「暁美さんは、心臓の病気で――」

……えぇっ?

クラスの空気が、静かにざわつきだす。

「……あの……暁美さん……?」

「――お気になさらず。ただの生理現象ですから」



転校生の頬を、涙が伝い落ちている。
その源の瞳は、ただ静かに無表情で
他には一切の疎漏なく、自己紹介を終え、席に着いていたけれど
その間ずっと、彼女の涙腺の箍は、外れていた。


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